ドアホンは「室内のモニターで出るもの」のままですか? ― 置き配の時代に見直す玄関の設計

2026/11/0221:5326人が見ました

ドアホンは、住宅の打ち合わせでほとんど話題にならない設備です。標準仕様のまま決まり、施主様も「付いていて当然のもの」と思っています。でも、共働きが増え、置き配が当たり前になった今、「家にいなくても玄関に出られるか」は、暮らしを大きく左右するようになりました。

私は自宅のドアホンをAmazonのスマートドアベル「Ring」に替えました。結論から言うと、いちばん変わったのは、玄関が「家にいる人だけのもの」ではなくなったことです。この記事では、その経験をもとに、配線の有無で分ける選び方と、施主様への提案の仕方をご紹介します。

私が使っていたのは2022年発売の「Ring Video Doorbell 4」でした。いま工事なしで始めるなら、同じバッテリー式の現行品「Ring Battery Doorbell 2K」が候補になります。

購入ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FHJBCRZW?tag=hidenori2458-22

公式サイト:https://www.kimuras.jp
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玄関は、家の外からも使える場所になった

 

私が使っていたRing Video Doorbell 4。カバーを替えて、玄関の雰囲気に合わせられる

私が使っていたRing Video Doorbell 4。カバーを替えて、玄関の雰囲気に合わせられる

 

スマートドアベルは、カメラとボタンが付いた玄関の子機です。来客がボタンを押すと、スマホに通知が届きます。映像を見ながら話せるので、会社にいても、買い物の途中でも、玄関に出るのと同じことができます。

日本の住宅でも、スマホにつながるドアホンは以前からありました。私も2018年から国産の機種を使っていましたが、アプリの使いにくさや起動の遅さ、通話の不安定さに、ずっと不便を感じていました。玄関の応対は、数秒遅れるだけで使いにくい機能になります。

 

以前使っていた国産ドアホンの室内モニター

以前使っていた国産ドアホンの室内モニター

 

一度はGoogleのNest Doorbellも試しましたが、ボタンが押されてから応答できるまでの遅れが気になり、定着しませんでした。Ringに替えて、ようやく「これなら毎日使える」と思えました。有線の国産機と比べれば、反応は及びません。それでも、家の外からも応対できることまで含めた総合点では、十分に優秀でした。

 

置き配と留守番で、玄関の役割が変わる

スマートドアベルが効いてくるのは、来客に出るときだけではありません。施主様の暮らしに置き換えると、話は2つあります。

1つは置き配です。人の動きを検知して通知が届くので、荷物が置かれたことも、その後に誰かが近づいたことも、外から確かめられます。ただ、録画を残したり、荷物を見分けて知らせたりするには有料のプランが必要です。Ringの場合、いちばん安いプランは1台あたり月350円、年3,500円です。

もう1つは、お子様の留守番です。私にも小さい子どもがいるので、玄関の前に知らない人がいないかは、やはり気になります。お子様に玄関へ出てもらわなくても、外にいる親がスマホで代わりに応対できます。「インターホンが鳴っても出なくていいよ。お父さんお母さんが出るから」と決めておけるのは、大きな安心です。

 

玄関ドアの横に取り付けた状態。カバーは青に替えている

玄関ドアの横に取り付けた状態。カバーは青に替えている

 

ただし、これは警備の仕組みではありません。Ringは、異常時の駆けつけや、警察・消防への緊急連絡のサービスは提供していないと案内しています。通知に親が気づけないときもあります。施主様には「見守りの道具であって、警備の代わりではありません」と最初に伝えておくほうが、後のトラブルを防げます。

 

配線がある家と、ない家で考える

選び方は、機能の比較より先に、配線で分けると整理しやすくなります。

  • 配線を使わない:Ring Battery Doorbell 2K(税込14,980円)。バッテリー式で、ネジかマグネットで取り付けます。マグネットが使えるドアなら、電気工事はいりません。
  • 今のドアホンの配線を使う:Ring 防犯ドアホン プロ(税込54,900円)。2026年に出た日本向けのモデルで、4Kのカメラを備え、戸建てで標準的な2線式のインターホン配線をそのまま使って交換できます。

 

私が使っていた国産ドアホンの玄関子機。既存の配線とボックスが、そのまま次の設備の土台になる

私が使っていた国産ドアホンの玄関子機。既存の配線とボックスが、そのまま次の設備の土台になる

 

バッテリー式のよさは、工事のいらない手軽さです。一方で、充電の手間は残ります。Battery Doorbell 2Kは本体にバッテリーを内蔵しているので、充電のあいだは玄関から外すことになります。私のVideo Doorbell 4は1回の充電でおよそ1か月動きました。来客や人通りが多い家ほど、充電の間隔は短くなると考えてください。別売りのプラグインアダプターという手もあります。

マグネットの取り付けは、ドアの材質を選びます。Ringの案内でも、引き戸は対象外です。ドアの近くの壁にネジで固定するなら、外壁の仕上げとの相性も見ておきます。

防犯ドアホン プロは、取り付けと配線に電気工事士の資格が必要です。屋内チャイムもAC100Vの直結で、室内モニターの代わりに付けます。ここが、工務店の出番になります。Amazonで製品と同時に申し込めば出張設置は110円とされていますが、新築やリノベーションなら、電気工事の中に最初から組み込むほうが自然です。なお、公式サイトでは戸建て向けの製品で、マンションやアパートには設置できないとされています。

 

室内の「どこで出るか」を決めておく

見落とされやすいのが、室内側です。スマホだけで応答する形にすると、家の中でスマホが手元にないとき、呼び出しに気づけません。

私がRingに決めた理由の一つも、室内で「ピンポーン」と鳴らせるチャイムでした。スマホの通知音は、思った以上に聞こえません。Ringの「Chime Pro」は、Wi-Fiの中継機も兼ねていて、スマホが手元になくても今までどおり呼び鈴が鳴ります。防犯ドアホン プロの屋内チャイムは、Wi-Fiにつながっていなくても鳴りますが、チャイム自体では応答できません。

応答する場所は、画面付きのスマートスピーカーで増やせます。私は、元のドアホンのモニターがあった場所に「Echo Show 15」を付けました。もともと配線があった場所なので、電源のコードが表に出ません。キッチンや寝室にEcho Showを置けば、料理中でもベッドからでも、来客の顔を見て応答できます。

 

元のドアホンの場所に付けたEcho Show 15。電源の変換は有資格者による工事が必要

元のドアホンの場所に付けたEcho Show 15。電源の変換は有資格者による工事が必要

 

キッチンのEcho Show 10。料理中でも来客に応答できる(写真:Amazon)

キッチンのEcho Show 10。料理中でも来客に応答できる(写真:Amazon)

 

ご近所への配慮まで設計に入れる

スマートドアベルは、玄関の前を映し続けるカメラでもあります。ここを説明せずに付けると、お隣との関係に影響しかねません。

Ringはアプリで検知する範囲を調整でき、私のVideo Doorbell 4ではプライバシーゾーンも設定できました。隣の敷地や前の道路が検知に入らないように絞ると、通知も減ります。設置の高さと向きは、カメラに何が映るかまで見て決めます。隣家の玄関や窓が正面に来る位置は、避けておきたいところです。

有料プランの録画はクラウドに保存されます。誰がアプリを見られるのか、録画をいつまで残すのかは、ご家族で決めておく必要があります。来客の顔を見分ける「顔なじみ認識」のような機能もありますが、使うかどうかは施主様の判断です。

 

新築・リノベーションの段階で押さえておきたいこと

後付けできる製品だからこそ、設計の段階で少し考えておくだけで、仕上がりと使い勝手が変わります。

  • 玄関のドアホンの配線は、今は使わない場合でも2線式で残しておく
  • 玄関までWi-Fiが届くかを確かめる(Ring Battery Doorbell 2Kはルーターや中継機から約6mまでが目安で、2.4GHz帯を使います)
  • 室内モニターの位置に、画面付き端末を置ける電源を用意する
  • カメラの高さと向きを、置き配の場所と隣地の見え方から決める
  • 夜も映るように、ポーチの照明の位置を決める(カラーで映すには一定の明るさが必要です)
  • 玄関の外に、置き配の荷物が雨にぬれない場所を用意する

ここは、工務店の皆さんにぜひ押さえておいていただきたいポイントです。ドアホンは標準仕様のまま進みがちですが、「今のドアホンで、外出先から出られますか?」と一言聞くだけで、打ち合わせの中身が変わります。施主様が本当に困っているのは、機種の違いではなく、留守中の荷物とお子様のことだからです。

こういう提案を施主様にできると、他社と差別化できます。おすすめは、共働きで小さなお子様のいるご家庭に「お子様が留守番するとき、玄関はどうしますか」と聞くことです。設備の説明より先に、暮らしの場面から話を始められます。

新築なら、配線とWi-Fiと電源を用意したうえで、機種は引き渡しの直前に決めても間に合います。この分野は変化が早いので、「配線と場所だけ先に決めて、機種はそのときいちばん良いものを」と伝えると、施主様にも納得していただきやすいはずです。リフォームなら、まず工事のいらないバッテリー式で試していただき、気に入れば配線を使う機種へ進む、という順番もあります。

 

玄関は、家にいなくても開いている場所になる

ドアホンは長いあいだ、家にいる人が室内のモニターで出るものでした。でも、家族の暮らしは、もう家の中だけで完結していません。

留守中の荷物、ひとりで帰宅するお子様、外出先に届く来客の知らせ。玄関の用事の多くは、家にいないときに起こります。カメラと配線とWi-Fiをひとまとめに考えると、ドアホンは小さな設備のまま、家族の安心を支える入口になります。

「ドアホンは標準のもので」で終わらせず、玄関を暮らしの話として提案できること。それが、選ばれる工務店になるための一つの近道だと私は考えています。

Amazonのアソシエイトとして、木村ヒデノリは適格販売により収入を得ています。

 

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