在宅ワークの部屋やスペースをつくるとき、照明は「天井にダウンライトを何灯」で決めて終わることが多いのではないでしょうか。
でも、机に向かって長い時間を過ごす部屋ほど、照明の差がはっきり出ます。私自身、自宅の仕事机でダイソンのデスクライトを使ってみて、夕方の疲れ方が変わることに驚きました。この記事では、そのときの体験をもとに、在宅ワークの場所をつくるときの照明計画の考え方をご紹介します。
製品の公式サイト:https://www.dyson.co.jp/lighting/solarcycle-morph
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夕方の疲れは、光の「色」から来ているのかもしれない
太陽の光は、一日の中で色が変わります。正午ごろはいちばん白く、朝や夕方は赤みを帯びます。私たちの体は、この光の変化で一日のリズムを刻んでいます。
ところが、在宅ワークの部屋は、朝から夜まで同じ白い光で照らされていることがほとんどです。昼光色の照明の下で、パソコンの画面を見続ける。これでは、夕方になっても体が「まだ昼だ」と受け取ってしまい、知らないうちに疲れがたまっていきます。
私が使ったダイソンのデスクライトには、住んでいる場所と時刻から、その時間の自然光に近い色温度へ自動で変えていく機能がありました。最初は「本当に要るのかな」と半信半疑でしたが、使ってみると、夕方に光が少しずつ温かくなるにつれて、自然と「一度休憩しようかな」という気持ちになりました。
ずっと集中できる光も便利ですが、長い目で見ると、一日のリズムに沿って光が変わるほうが、体にも頭にも合っていると感じます。
「部屋の光」と「机の光」を分けて考える

1台で、仕事机・ソファ・床置きと、場所に合わせて光を使い分けられる
在宅ワークの照明計画で、まず考えたいのは、部屋全体を照らす光と、手元を照らす光を分けることです。
天井の照明だけで机の上を十分に明るくしようとすると、部屋全体が明るくなりすぎて、夜にくつろぐときにまぶしく感じます。逆に、くつろぐための明るさに合わせると、今度は手元が暗くなります。
そこで、天井の照明は部屋全体の明るさをつくる役に、机の上は手元を照らす照明に任せます。こうしておくと、仕事の時間は手元だけをしっかり明るくし、夜は手元の照明を消して部屋の光を落とす、という切り替えがしやすくなります。
設計の段階でできることもあります。机を置く位置を決めて、その近くにコンセントを用意しておく。手元の照明を置くスペースや、壁に寄せる位置まで考えておく。これだけで、住み始めてからの「照明が足りない」「延長コードだらけになった」という不満をかなり減らせます。
色温度は「固定」ではなく「時間で変える」

左から寒色系、自然光に合わせた光、暖色系。見た目が近くても、含まれる光の成分は違う
書斎や仕事部屋の照明は、「作業をするから昼白色」と決めてしまいがちです。でも、先ほどの話のとおり、一日中同じ色の光が続くことが、夕方以降の疲れにつながります。
おすすめしたいのは、色温度を変えられる「調光・調色」の照明を選び、時間帯で光を変えることです。
- 午前から昼すぎは、白っぽい光で集中しやすく
- 夕方からは、少しずつ温かい色へ
- 夜は、手元の照明を落として、部屋をやわらかい間接光に

時間帯や使い方に合わせて、光の向きや色を変えられる
ダイソンのデスクライトは、この切り替えを1台でこなせるのが特徴でした。昼は机を照らすタスクライトとして使い、夜は光の部分を支柱側に付け替えて、壁を照らすやわらかい間接照明にできます。壁に絵を飾っている部屋なら、色を正しく見せるスポットライトとしても使えます。
もちろん、ここまでを1台でやらなくても構いません。調光・調色のダウンライトやスマート照明を組み合わせれば、同じ考え方は家全体の照明計画で実現できます。
明るさだけでなく「色の正しさ」も見る
照明を選ぶとき、明るさ(ルーメン)や色温度(ケルビン)は見ても、「演色性」まで気にする方は多くないかもしれません。
人工の光は、同じ白に見えても、中に含まれている色の成分がばらばらなことがあります。たとえば黄色の成分が極端に少ない光だと、見た目は白くても、物や写真の黄色がくすんで見えます。正しい色が見えにくいだけでなく、本人が気づかないうちにストレスになることもあります。
光の色の正しさは「演色評価数(Ra)」で表され、100が満点です。私が使ったダイソンのデスクライトは、Ra90以上でした。美術館の照明に色の再現性が高いものが選ばれるのも、このためです。
読書や資料の確認、子どもの勉強など、机の上で長い時間を過ごす場所ほど、Raの高い照明を選ぶ価値があります。お客様に照明器具を提案するときも、Raの数字を一緒に示すと、選ぶ理由が伝わりやすくなります。
センサーで「消し忘れ」と「明るすぎ」を防ぐ

自然光に合わせる機能や人感センサーは、本体のボタンでも切り替えられる
もう一つ便利だったのが、センサーです。人感センサーが付いていて、5分ほど人の動きがないと暗くなり、そのあと消えます。席に戻ると、また点きます。オンとオフを気にせずに席を立てるのは、家の中を行き来しながら仕事をする在宅ワークに合っています。
明るさのセンサーも入っていて、周りの明るさに合わせて光の強さを変えてくれます。夜は、昼と同じ明るさでもまぶしく感じるものです。昼に合わせた明るさのまま夜も使い続ける、ということが起きないのは、地味ですが大きな利点です。

台座のUSB-Cで、スマートフォンなどを充電できる
台座にはUSB-Cの差し込み口もあり、スマートフォンなどを充電できます。机の上の充電場所まで照明に任せられると、机まわりのコードが一本減ります。
在宅ワークの相談を受けたときに
在宅ワークの部屋をつくるとき、照明について確認しておきたいことをまとめます。
- 天井の照明は「部屋全体の明るさ」、机の上は「手元の照明」と役割を分ける
- 色温度を変えられる照明を選び、時間帯で光を変えられるようにする
- 机の上で長く過ごす場所には、Ra(演色評価数)の高い照明を選ぶ
- 机の位置を先に決め、手元の照明と充電のためのコンセントを近くに用意する
- 人感センサーや明るさのセンサーで、消し忘れと明るすぎを防ぐ
ここは、工務店の皆さんにぜひ押さえておいていただきたいポイントです。在宅ワークの相談では、机の大きさやコンセントの数の話は出ても、「光の時間」まで話が及ぶことはほとんどありません。打ち合わせで「夕方になると疲れやすくありませんか? 光の色を時間で変えると、仕事の終わり方が変わります」と一言添えられると、施主様にとっては初めて聞く提案になり、他社との差別化につながります。
照明器具の提案も、ワット数や明るさだけでなく、「調色できるか」「Raはいくつか」まで説明できると、専門家としての信頼が一段上がります。自社のモデルハウスに調光・調色の照明と手元のライトを置き、朝・夕方・夜の光の違いを実際に見てもらうのも、とても伝わりやすい方法です。
なお、私が使ったデスクライトは、今は「Dyson Solarcycle Morph」という名前で売られています。価格はデスクライトが72,600円、床に置くフロアライトが97,900円です(2026年10月時点、ダイソン公式)。この記事を書いている時点では、公式ストアで在庫切れになっていました。
照明としてはかなり高価ですが、毎日長い時間使うもので、光の質が長く保たれることを考えると、一定の方には合う選択肢だと思います。
光は「時間」で設計できる
照明計画というと、「どこに何灯付けるか」という場所の話になりがちです。でも、在宅ワークの部屋では、「いつ、どんな光にするか」という時間の設計も同じくらい大切です。
朝は白い光で仕事を始め、夕方には温かい光で一息つき、夜はやわらかい光で一日を終える。そんな流れを照明でつくれると、家で働く人の毎日は確実に楽になります。在宅ワークの相談を受けたときには、ぜひ光の「時間」まで一緒に提案してみてください。
「どこで働くか」は図面で決まりますが、「どんな光の中で働くか」は、照明計画で決まります。そこまで踏み込んで提案できることが、在宅ワークの時代に選ばれる工務店になるための強みになると、私は考えています。
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